精神科訪問看護全般
2025-09-02
薬剤師さんとどう付き合う?

薬剤師さんをどうつきあっていくか?
精神疾患治療薬と上手に付き合うためにできること
はじめに
精神科のお薬を飲み始めたとき、多くのご利用者様が感じるのは「本当にこの薬を飲み続けて大丈夫なのかな?」という不安です。
副作用が心配、飲み忘れてしまう、長く飲み続けることに抵抗がある──。そんなとき、主治医だけでなく、薬剤師さんをうまく活用することが、ご利用者様の生活を安定させる大きな助けになります。
今回は、精神疾患治療薬と上手に付き合うために「薬剤師さんをどう使うか(どうつきあっていくか)」についてご紹介します。
1. 薬剤師さんの役割とは?
薬剤師さんは「お薬を渡す人」と思われがちですが、実はもっと幅広い役割を持っています。
お薬の効果や飲み方を分かりやすく説明する
副作用のチェックを行う
他のお薬やサプリメントとの飲み合わせを確認する
飲み忘れが続いていないかを一緒に確認する
ご利用者様の体調や生活に合わせたアドバイスをする
つまり、薬剤師さんは 「お薬の専門家」 であると同時に、安心して治療を続けられるよう支えてくれる存在なのです。
2. 精神疾患治療薬と付き合うときに起こりやすいこと
精神科のお薬は、眠気やだるさ、体重増加などの副作用が出やすいことがあります。また「いつまで飲み続けるのか分からない」と不安になる方も少なくありません。
中には薬を辞めたいと強く思う人もいらっしゃると思います。そんな時こそ、副作用について精通している薬剤師さんが相談にのってくれる存在なのです。
例えば──
眠気が強く、日中の生活に支障をきたす
食欲が増して体重が気になる
飲み忘れが続いてしまう
友人や家族に薬を飲んでいることを話しにくい
こうした不安や疑問を一人で抱えると、お薬を自己判断で中止したり、医師に相談しづらくなったりすることがあります。
そんなときこそ、薬剤師さんが心強いパートナーになります。
内服の時間帯を変えてみたり、形状を変えることで飲みやすく自分の生活に合った薬の使い方ができるかもしれません。
3. 薬剤師さんに相談できること
薬剤師さんに相談していいことって、実はとても幅広いのです。
副作用について
「最近眠気が強い」「口が渇く」といった体の変化を伝えると、薬剤師さんが副作用の可能性を見極め、医師への相談を勧めてくれます。
薬局と医師の関係によっては薬剤師さんが主治医とのやり取りをしてくれることもあります。
飲み合わせについて
風邪薬や市販薬、サプリメントを飲むときも、薬剤師さんに伝えることで安心して併用できるか確認できます。
飲み忘れへの工夫
「つい忘れてしまう」というときには、薬をセットするケースの提案や、スマホのアラーム活用など、生活に合った工夫を一緒に考えてくれます。
最近では薬管理のロボットも登場しており、時間になるとアラームでお知らせ、1回に内服する量だけ取り出せるというものもあります。
不安な気持ちの共有
「この薬をずっと飲むのかな?」といった気持ちの不安も、薬剤師さんに話して大丈夫です。ご利用者様の声は、医師に伝える大切な情報になります。
4. 訪問看護と薬剤師さんの連携
訪問看護師と薬剤師さんがつながることで、ご利用者様の安心はさらに広がります。
訪問看護師が日常の変化を観察し、気になる点を薬剤師さんに共有することもあります。
薬剤師さんからの情報を訪問看護師が受け取り、ご利用者様の生活に合わせてサポートすることもあります。
医師・薬剤師・訪問看護師の三者で情報をつなぐことで、安心して治療を続けられるようになります。
上手にのめなくて溜まってしまった薬をどうしたらいいかと言う時に看護師から薬剤師さんに相談させてもらうこともあります。
もちろん直接かかりつけの薬局に相談することもよいでしょう。
5. ご利用者様ができる工夫
薬剤師さんを活用するために、ご利用者様ご自身ができることを整理してみましょう。
① 気になることはメモする
これは診察の時も同じですが
副作用や体調の変化は、いざ薬局に行くと忘れてしまいがちです。ちょっとしたことでも、紙やスマホにメモしておくとスムーズに相談できます。
② 遠慮せず質問する
「こんなこと聞いていいのかな?」と思うことほど大切です。薬剤師さんは質問を歓迎してくれるので、安心して声をかけましょう。
先生に直接聞けなかったことを質問することもできます。薬の形状や飲みやすさについて相談にのってもらうことも薬と上手に付き合う方法の一つです。
③ 同じ薬局を利用する
毎回同じ薬局を利用すると、薬剤師さんがご利用者様の服薬の流れを継続的に把握できるため、より的確なアドバイスがもらえます。
④ 訪問看護で一緒に確認する
薬の管理や相談が難しいときは、訪問看護師と一緒に薬剤師さんに相談するのもおすすめです。
6. 自分らしく薬と付き合うために
精神疾患治療薬は「一生飲み続けないといけないのでは?」と不安になる方もいます。けれど大切なのは、「薬をどうやめるか」ではなく、「薬をどう生活に取り入れて、自分らしく過ごすか」 です。
薬を飲むことで、眠れるようになったり、対人関係が改善したり、やりたいことができるようになったり、生活が安定する方はたくさんいます。薬は「心を縛るもの」ではなく、「生活を支える道具の一つ」と捉えてみてください。
最小限の量で最大限に効果を発揮してもらえるように相談しながら上手に薬を使っていきましょう。
まとめ
精神疾患治療薬と上手に付き合うためには、薬剤師さんを活用することがとても大切です。
薬剤師さんは「薬を渡すだけ」ではなく、生活の中で安心して薬と付き合えるよう支えてくれる存在
副作用や飲み忘れ、不安な気持ちは一人で抱え込まず、薬剤師さんに相談してよい
訪問看護と薬剤師さんが連携することで、ご利用者様の生活全体が守られる
自分らしく薬を使うために、質問やメモ、同じ薬局の活用など、ちょっとした工夫が役立つ
薬を「仕方なく飲むもの」と感じるとつらくなりますが、「生活を支える味方」と思えると、心も少し軽くなります。
どうかご利用者様が薬を通じて安心を得て、自分らしい生活を取り戻せるよう、薬剤師さんや訪問看護を上手に使っていただければと思います。
そして、できるだけ不要な薬をのまずに効果的に使っていく、そんな風に主体的に治療していけるよう訪問看護でもお手伝いさせていただきます。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。