精神科訪問看護全般
2025-06-05
訪問看護ってどこでもいいの?

みなさんこんにちは聴き上手です。
昨今は精神科の訪問看護が乱立・・・・
訪問看護だったら看護師さんが来てくれるんだからどこも同じ?
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方に向けて今日は
訪問看護師は“誰が来るか”が9割?
~「人」で選ばれる訪問看護の時代へ~
というテーマになっております。
■ はじめに:訪問看護を選ぶ時代に
「訪問看護って、どこでも同じなんじゃないの?」
「どこのステーションでも、同じことをしてくれるんでしょ?」
そんなお声を聞くこともあるのですが
でも実は、“どこ”より“誰”が来るかの方がずっと大きな意味を持つのが訪問看護の世界。
特に精神科では、“人との関係性”が支援の大半を占めていると言っても過言ではありません。
この記事では、なぜ「誰が来るか」が大事なのか、どんな視点で訪問看護ステーションを選べばいいのか、そして「聴き上手」がどんな取り組みをしているのかをお伝えします。
■ 訪問看護の“質”は、関わる「人」で決まる
病院での治療や看護は、「医療の質」や「治療成績」が評価の中心になりがちです。
ですが、訪問看護は「生活の中で支える」ことが求められるため、
**看護師自身の“人間性”や“価値観”**が、そのまま支援の質になります。
ちゃんと話を聞いてくれる人か
安心感が持てる人か
否定せずに受け止めてくれる人か
心の痛みに寄り添ってくれる人か
本当に大切だと思うことを言ってくれる人か
・・・・これらはマニュアルでは身につかない力だと思っています。
人と人との「間(あいだ)」で育まれる関係性が、訪問看護の土台なのです。
何故なら、精神科特化の訪問看護はその人の生活を支えるところからはじまって
暮らしが変わるところを目標としているから。
生活を支えることっていうのは共有しやすくてわかりやすい
例えば家事、薬の管理、生活リズム・・・・・
でも、暮らしの質となると、幅も広くてそれぞれ思い描く暮らしぶりは
千差万別です。
だから、じっくりと時間をかけて関わっていくという前提がある
看護師じゃないと困りますよね。
そして、30分座ってればいいわって思う看護師も(そんな人はいないはずですが)
困ります。
聴き上手では、入社してすぐ「在り方研修」という独自の研修を行っています。
看護師ひとりひとりが、自分がどんな生活観をもって生きているのか?
どんな死生観をもっているのか?どんな思考の傾向があって、そもそもこの仕事は
自分にとってどんな意味を持つのか?そこを整理してから訪問を開始しています。
■ 看護師の“相性”がこんなに大事な理由
精神科の訪問看護でよくあること。
それは、「この人だから話せた」という場面です。
たとえば、今まで誰にも言えなかった本音が、いつの間にかぽろっとこぼれた。
そんな瞬間に立ち会えるのが、訪問看護の特権であり、醍醐味です。
しかしこれは、相手との信頼関係があってこそ。
もし、声のトーンが合わなかったり、価値観がずれていたりしたら、人って相手に心を閉ざしてしまいます。
「この人、わかってくれるかもしれない」と思ってもらえることが、支援の第一歩です。
なので、関係ができるまで時間がかかるケースもあります。
でも、おひとりおひとり、これまでの人生経験も考え方も違っているので、そこがみえてくるまでじっくりと
関わっていくのが聴き上手のスタンスです。
■ 訪問看護ステーションを選ぶときに見るべきポイント
◎ ステーションの特性が見えるか
ホームページやSNSなどに発信されている内容をチェック!
露出メインになっていないか?本質的なところを発信しているか?というところをみてみましょう。
訪問看護はあくまでも医療です。スタッフの飲み会やお菓子を食べているところも雰囲気が伝わってきていいと思うのですが、
本質的なところをコツコツと投稿しているステーションをチェックしてみましょう。
◎ どんな研修をしているか
チームとしての学びを大切にしているかは、サービスの質を保つ上で重要です。
精神科は特に、「聴く力」や「関係性を築く力」のトレーニングが不可欠です。
ミーティングや勉強会、研修への参加などが投稿されているかみてみるのも参考になると思います。
基本的には忙しいのですが、その合間を縫って自己研鑽をしているステーションにはそれだけ質の高い看護師が多く集まっているとも言えます。
◎ 雰囲気やチームのカラー
ステーションにはそれぞれ「色」があります。
アットホームな雰囲気を大切にしているのか、かっちりした医療的支援が得意なのかなどなど・・・・。
ご自身のニーズとステーションの方向性が合っているかも、大事なチェックポイントですね。
■ 聴き上手の取り組み:誰が来ても安心を届けられること
私たち「訪問看護ステーション 聴き上手」では、「誰が来ても安心できる看護」を目指しています。
◎ 看護師は可能な限りチーム対応
看護師にはそれぞれの看護観があります。そして私たち自身も生活者でそれぞれの価値観を持っています。
なので、できる限り、2名~3名の看護師がおひとりの利用者様を担当するという形をとらせてもらっており、
複数の考えや看護観がポリフォニーを生み出すことで、幅広い対応を目指すようにしています。
おひとりおひとりの生活をケアすることはそう簡単ではありません、私たちも、看護師同士相談し合いながら
チームで、仲間でケアを行うことが安心していただける看護に繋がっていると考えています。
◎ 「安心して断れる」関係づくり
そうはいっても「やっぱり合わないな」と思ったら、遠慮なく言っていただいて構いません。
私たちは「断られること」も関係の一部だと思っています。
そして、どれだけ頑張っても看護が届かないタイミングがあったり、訪問が難しくなることが稀にあります。
そんな時は、その方にとって最善の方法で次の訪問看護に繋がっていただけるような形で終了できるよう心掛けています。
■ まとめ:「人との出会い」が支援の質を変える
訪問看護は、「何をしてくれるか」というよりも「誰とどう過ごすか」が大切なのかもしれません。
24時間365日という生活時間の中で、私達訪問看護師が関われるのは、週に数回の短い時間です。その点を線に繋げていくことで
生活が変わり、暮らしが変わっていく。
利用者様それぞれが思い描く自分らしい人生、最初はそんなことを考える余裕もない状況からスタートすることもあります。
でも、希望を持ち続けて自分に向き合ったり、家族との関係を調整したり、仕事にチャレンジしたり、と自分の足で前に進んでいくことができれば
必ず路は開けていきます。
だからこそ、「この人達に来てほしい」と思える存在に出会うことが、人生を変えるきっかけになるかもしれません。
迷ったら、まずは話をしてみてください
“話を聴いてくれる誰か”がいるだけで、日常はこんなにも軽くなるーーーそんなことを一人でも多くの方に知っていただけたらなと思っています。
「誰かに聴いてほしい」「そばにいてほしい」
そんな気持ちに応えられるよう、私たちはいつも“耳”をひらいて、待っています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。