精神科訪問看護全般
2025-05-13
毒親を恨まない生き方

毒親を恨まないという選択──過去に縛られず、今日を生きるあなたへ
こんにちは。精神科特化訪問看護 聴き上手です。
この記事を開いてくださったあなたは、おそらく「親との関係」で何らかの痛みや葛藤を抱えてきた人ではないでしょうか。
「毒親」──今や広く知られるようになったこの言葉には、「支配的」「否定的」「無関心」「依存的」など、さまざまなかたちの親から受けた傷が含まれています。
それは、他人から見えにくく、わかってもらいにくく、しかも“親だからこそ”心の奥深くに残ってしまう傷です。
今日は、「毒親を恨まない」というテーマを通して、自分を責めることなく、誰かを憎むことに疲れたあなたが、少しでも心穏やかに、自分の人生を歩んでいけるようなヒントを届けられたらと思っています。
■ 「恨みたくないのに、許せない」──矛盾に苦しむあなたへ
毒親に育てられた多くの人が抱える感情には、共通点があります。
「本当は恨みたくないのに、思い出すたびに怒りが湧いてくる」
「親なんだから感謝すべきだという気持ちと、恨みたくなる気持ちが交錯してしんどい」
「他の人の“家族の思い出”に触れると、自分には何もないことに気づいて落ち込む」
親を恨むなんて、自分がひどい人間なのではないか――
そんなふうに自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、それは当然の感情なんです。
むしろ、そのくらいあなたが苦しかった、という証。
「親子だから仲良くすべき」なんていう言葉の重圧の下で、
本当は傷ついていたことをなかったことにしてきた、
そんなあなたの“気持ちの叫び”が、やっと出てきただけと捉えるのがいいのではないでしょうか。
■ 恨みは「あなたが悪い」証拠ではない
毒親への怒りや悲しみが湧いてくるのは、「傷ついた経験を無視して生きてこられなかった」ほど、あなたが誠実だったから。
たとえば、
自分の感情を否定された
必要な愛情を与えてもらえなかった
努力しても認めてもらえなかった
自由に選ぶことを許されなかった
そうした記憶があると、「私は一体なんだったんだろう」と思わずにはいられません。
でも、その苦しみを感じたからこそ、自分と向き合い、人を大切にしようとできるのです。
あなたが感じている「恨み」は、憎しみではなく、“心の修復を求める叫び”でもあるのです。
■ 「毒親を恨まない」とは、無理に許すことではない
ここで、ひとつ大事なことをお伝えしたいのですが、
「毒親を恨まない」というのは、親を無理に“許す”ことではありません。
あなたの痛みを無理に「なかったこと」にする必要はありませんし、
わざわざ感謝の気持ちを持つ必要もありません。
それよりも、もっと根っこの部分で、こう考えてみてほしいのです。
「この怒りや恨みに縛られ続ける人生を、私は選ばなくてもいい」
恨むことは、正当な感情でありながらも、ときに自分自身を傷つけ続けるものにもなります。
怒りは、心のエネルギーをすり減らします。
過去にしがみつくほど、未来を閉じてしまうこともあります。
「親を恨んでいるから自分は幸せになれない」と思ってしまうくらいなら、
“恨むことすら手放して、自分の人生を生きていく”という選択肢も、あっていいのではないでしょうか。
■ 恨まないために必要な3つの視点
①「自分を守る」ために距離をとる
「親なんだから会わなきゃ」「親不孝になるのでは」と悩む人は多いですが、
自分の心が壊れてしまいそうなときは、物理的にも心理的にも距離を取ることが大切です。
親子であっても、境界線を引いていい。
その距離が「冷たい」わけではなく、「自分を守るための行動」です。
会わない、連絡を控える、親の意見を受け流す──
それは逃げではなく、“選択する力”です。
②「過去の自分を抱きしめる」
毒親との関係で苦しんできた人は、自分自身にも厳しい傾向があります。
「もっと早く自立できていれば」
「どうして反抗できなかったんだろう」
「なんであんなにも気を遣ってたんだろう」
でも、当時のあなたは、“生き延びるために”そうせざるを得なかったんです。
子どもは、親が世界のすべて。
愛されたい、認められたい──そう思うのは当然のことだったという解釈で大丈夫です。
あの頃の自分を否定しないでください。
「よくがんばったね」と、心の中で声をかけてあげてください。
③「今の自分にできること」に意識を向ける
過去を変えることはできません。
でも、今の自分が「どう生きるか」は、今日からでも選ぶことができます。
自分の好きなものを知る
自分を大事にしてくれる人と関係を築く
自分の心の声を聞く時間をつくる
こうした“小さな積み重ね”が、過去からの呪縛を少しずつゆるめてくれます。
■ それでも心が痛むときは──
人間ですから、日によっては「思い出しただけで怒りがこみあげる」「涙が止まらない」ということもあるでしょう。
そんなときは、「恨まないって決めたのに…」と自分を責めないでください。
傷が深ければ、癒えるまで時間がかかるのは当たり前のことです。
「もう親のことで悩みたくない」と思うあなたは、
すでに過去と向き合い、自分の人生を大切にしようとしています。
それだけで、もう十分すごいんです。
そして、そんなあなたには、自分を幸せにする力がちゃんとあります。
■ 「自分の人生を生きる」ということ
毒親に育てられた人の中には、
「自分の人生を生きること」にどこか罪悪感を抱いてしまう人もいます。
親が満たしてくれなかったものを、自分で手に入れていいのか?
幸せになることが、親への“裏切り”のように感じることもあるでしょう。
でも、違います。
あなたが幸せになることは、親を否定することではなく、あなた自身を肯定することです。
もう一度言います
あなたが幸せになることは、親を否定することではなく、あなた自身を肯定することです。
「もう自分のために生きていい」
そう心の中で宣言するだけで、あなたの世界が変わっていくのを実感できると思います。
■ 最後に──毒親を恨まない“やさしい強さ”
毒親を恨まない。
それは、あなたが過去の苦しみに飲み込まれず、自分の人生を歩んでいくための「選択」です。
それは、無理して許すことでも、感謝することでもなく、
「もうこれ以上、自分を痛めつけない」という決意の表れです。
苦しかった日々は消えないかもしれない。
でも、その傷を抱えながらでも、笑える日が来ます。
その痛みを知っているからこそ、あなたにしかできない優しさもあるはずです。
あなたはもう、親の評価を気にしなくていい。
「誰かの子どもとして」ではなく、「ひとりの大人として」、
自分の足で、自分のリズムで、生きていけばいい。
ゆっくりで大丈夫です。
あなたの人生は、あなたのものだから。
長くなってしまいました☆
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。