精神科訪問看護全般
2025-04-16
「感情って、本当に必要なの?」心の声に耳を傾けてみよう

皆さん、こんにちは。加古川市の精神科 訪問看護ステーション、聴き上手です。
今回は「感情」という、私たち人間にとって当たり前すぎる存在について考えてみたいと思います。
「なんだか最近、感情の波に疲れてしまった」「いっそのこと、感情なんてなくなってしまえば楽なのに…」そう感じたことはありませんか?特に、メンタルケアに課題を抱えている方の中には、強い感情に振り回され、そう願う方もいらっしゃるかもしれません。
◆◆感情は、時に厄介な存在?
喜び、悲しみ、怒り、不安、恐れ…私たちは日々、様々な感情に翻弄されます。時には、その激しさや持続性に疲弊し、「こんな感情、なければいいのに」と感じてしまうこともあるでしょう。
特に、以下のような経験がある方は、感情をネガティブなものとして捉えがちかもしれません。
・過去のトラウマ体験から、特定の感情が強く呼び起こされる
・精神疾患の症状の一つとして、感情の波が激しい
・日常生活で強いストレスを受け、常にイライラや不安を感じている
・他者の感情に過敏に反応し、疲れてしまう
などなど・・・・いっそ感情なんてなかったらいいのに、そう思ってしまうというお声を聴くこともあります。でも、私たちにとって感情は、もちろんネガティブな側面ばかりではありません。
◆◆感情が教えてくれること
実は、感情は私たち人間が生きていく上で、非常に重要な役割を果たしています。
危険を知らせるアラーム: 例えば、恐怖は危険を察知し、身を守るための行動を促します。不安は、潜在的なリスクに気づかせ、準備を促すことがあります。
人間関係の潤滑油: 喜びを共有することで他者との繋がりが深まり、悲しみを共有することで共感や慰めが生まれます。怒りは、自分の大切なものを守るためのエネルギーになることもあります。時には自分を守る壁になってくれることも。
行動の原動力: 楽しいと感じることは、それを続けたいという意欲に繋がります。悲しい経験は、同じ過ちを繰り返さないための学びとなります。
自己理解の深化: 自分が何に喜びを感じ、何に悲しみ、何に怒りを感じるのかを知ることは、自分自身を深く理解する上で不可欠です。
つまり、感情は私たちにとって、生き延びるため、他者と繋がり、より良く生きていくための羅針盤のようなものなのです。
◆◆「ネガティブな感情」の役割
では、「ネガティブ」と呼ばれる感情(悲しみ、怒り、不安など)はどうでしょうか?これらの感情も、私たちにとって重要なメッセージを伝えてくれます。
悲しみ: 失ったものへの喪失感や、満たされない気持ちを教えてくれます。悲しみを乗り越えることで、私たちは成長し、新たな一歩を踏み出すことができます。
怒り: 自分の大切なものが侵害された時、不当な扱いを受けた時に湧き上がり、「NO」と言うためのエネルギーを与えてくれます。
不安: 未来に対する不確実さや、潜在的な危険を知らせてくれます。適切な不安は、準備や対策を促し、リスクを回避する助けとなります。
これらの感情を無理に抑えつけたり、なかったものとして蓋をしてしまうと、かえって心のバランスを崩してしまうことがあります。
◆◆感情との上手な付き合い方
大切なのは、「感情をなくす」ことではなく、「感情と上手く付き合う」ことです。感情と上手く付き合うとはどういうことでしょうか。
例えば・・・
感情に気づき、名前をつける: 今、自分がどんな感情を抱いているのかを認識し、「悲しい」「怒っている」「不安だ」など、言葉にしてみましょう。
感情を否定しない: どんな感情も、あなたの大切なメッセージを伝えています。「こんな感情を持つべきではない」と否定するのではなく、「そう感じているんだな」と受け止めてあげましょう。
感情の原因を探る: なぜそう感じるのか、その原因を探ってみましょう。原因が分かれば、対処法が見つかることもあります。
適切な表現方法を見つける: 感情を我慢したり、爆発させたりするのではなく、自分にとって心地よい表現方法を見つけましょう。話を聞いてもらう、日記に書く、体を動かすなど、様々な方法があります。
必要であれば専門家のサポートを: どうしても感情のコントロールが難しい、強い感情に苦しめられる場合は、精神科医やカウンセラーなど、専門家のサポートを求めることも大切です。私たち精神科訪問看護も、感情との向き合い方について一緒に考えることができます。
◆◆精神科訪問看護ができること
私たちの訪問看護では、感情の波に戸惑ったり、苦しんだりしている方に対して、以下のようなサポートを行っています。
感情のモニタリング: 日々の感情の変化を一緒に観察し、記録することで、パターンを見つけ、対処法を考えます。
感情の表現のサポート: 言葉にするのが難しい感情を、様々な方法で表現するお手伝いをします。はじめからうまく言葉にできなくても、まず、話す、まず、聴くことからはじめていきます。
ストレスマネジメント: ストレスが感情に与える影響を理解し、ストレスを軽減するための方法を一緒に考えます。
コミュニケーションスキルの向上: 他者とのコミュニケーションの中で、自分の感情を適切に伝えるための練習をします。伝え方でずいぶん変わることがあります。
安心できる居場所づくり: 安心して感情を表出できる関係性を築き、心の安定を目指します。
◆◆最後に
感情は、私たち人間にとってかけがえのないものです。時には辛く感じることもあるかもしれませんが、その一つひとつが、私たち自身のことを教えてくれる大切なサインです。
もし今、感情の扱いに困っていると感じているなら、一人で悩まずに、私たち精神科訪問看護ステーションにご相談ください。あなたの心の声に耳を傾け、一緒に向き合っていくお手伝いをさせていただきます。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。