お知らせ

お知らせ

お知らせ

お知らせ

精神科訪問看護全般

2025-04-16

OD(オーバードーズ)について知っておきたいこと、できること


皆さん、こんにちは。精神科訪問看護ステーション 聴き上手です。

今回は、誰にでも起こりうる可能性のある「オーバードーズ(OD)」について、メンタルケアに課題を抱えている方に向けて、知っておいてほしいこと、そしてもしもの時にできることをお伝えしたいと思います。

◆◆オーバードーズ(OD)とは?
オーバードーズとは、一般的に市販薬や処方薬を、本来の用法・用量を超えて服用することを指します。その背景には、つらい気持ちを紛らわせたい、どうしようもない感情から解放されたいといった、様々な心の叫びがあると考えられます。

決して他人事ではありません。強いストレスや孤独を感じやすい現代社会において、誰しもがODに繋がるような状況に陥る可能性を秘めているのです。最近は市販薬でオーバードーズに至る方が多い傾向です。一部では快楽を求める「ファッションOD」という言葉があるそうですが、ODは当然事故に繋がると命を落とすこともあります。

◆◆ODの背景にあるもの
ODをしてしまう背景には、以下のような様々な要因があり、これらあ複雑に絡み合っていることがあります。これらの複雑な気持ちを何とかしたいという回避行動であり、対処方法であることを理解する必要があると思います。この方法に対して社会の根強い忌避感があり、ODに至るほど辛い、苦しいということが相談しにくい環境があることも理解しておきましょう。


感情のコントロール困難: 怒り、悲しみ、不安などの激しい感情に押しつぶされそうになる
孤独感・孤立感: 誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう
自己否定感の強さ: 自分には価値がないと感じてしまう
過去のトラウマ: 過去のつらい経験がフラッシュバックし、苦痛から逃れたい
精神疾患の影響: うつ病、不安障害、パーソナリティ障害などの症状による衝動性、または統合失調症などの症状の苦しさから逃れたいという対処
希死念慮:生きているのが辛い、とても苦しい、死んでしまいたいという考え


これらの要因が重なることで、ODが一時的な解決策になってしまうことがあり、根本的な解決ではないと頭ではわかっていても、寧ろ生きる為にODを選択する場合があります。

◆◆ODをしてしまったら、どうすればいい?


もし、ご自身や身近な方がODをしてしまった場合、まずは命を守ることが最優先です。

救急車を呼ぶ(119番): 意識がない、呼吸が苦しそう、痙攣しているなどの場合は、迷わず救急車を呼んでください。
医療機関を受診する: 救急車を呼ぶほどではない場合でも、自己判断せずに必ず医療機関(救急外来、精神科など)を受診してください。服用した薬の種類や量によっては、後から症状が悪化する可能性があります。
無理に吐かせない: 意識が朦朧としている場合や、指示に従えない場合は、無理に吐かせようとしないでください。誤嚥の危険があります。
そばにいる: 不安な気持ちを抱えている可能性があるので、一人にしないで声をかけ、安心できるように寄り添ってください。
服用した薬の情報を提供する: 可能であれば、服用した薬の種類、量、時間を医療機関に伝えられるように準備しておきましょう。

◆◆昨今の医療的処置、ケア
①全身管理
重度の意識障害によって舌根沈下している場合、気道が塞がれて呼吸ができなくなるため、チューブを挿入して気道を確保したり、人工呼吸器で呼吸をサポートします。心室細動などの不整脈が起きれば電気的除細動も必要になります。不整脈を薬の投与で止めたり、血圧低下が起きた場合はその処置を行います。
②吸収の阻害
これはODした薬が消化管から吸収されることを防ぎます。胃洗浄は行われることは減っていて、活性炭を投与して薬を吸着させて便と共に排泄させます。
③排泄の促進
既に吸収されてしまった薬の排泄を促します。例えば血液透析法などで血中の薬物を取り除きます。
④解毒・拮抗薬の投与
ODした薬の毒性を弱めるための薬を投与します。

参考:こころの元気


◆◆ODを繰り返さないために、できること
ODは、SOSのサインです。これは個人の問題ではなくその人を取り囲む環境全体を見ていく必要があります。繰り返さないことも大切ですが、まずは可能な限り安全なODについて一緒に考えることも大切です。

誰かに相談する: 信頼できる家族、友人、医療従事者、相談機関などに、つらい気持ちを打ち明けてください。一人で抱え込まず、誰かに頼ること。上手に話す必要はありませんし、言葉にならない気持ちもあると思います。それでもすこしずつ言葉にしていくことは、自分の気持ちと向き合っていく助けになります。
精神科・心療内科を受診する: 専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることも手段のひとつ。薬物療法だけでなく、カウンセリングなどの心理療法も有効な場合があります。
訪問看護を利用する: 精神科訪問看護は、ご自宅で安心して療養できるよう、専門の看護師が定期的に訪問し、相談や服薬管理、日常生活のサポートなどを行います。ODの再発予防や、安定した生活を送るためのサポートも行っています。
利用できる社会資源を知る: 地域の相談窓口、支援団体、自助グループなど、様々な社会資源があります。自分に合った場所を見つけて、繋がってみましょう。
ストレスマネジメントを学ぶ: ストレスを溜め込まないための対処法(リラックスできる時間を持つ、適度な運動をする、趣味を見つけるなど)を身につけましょう。
自分の気持ちに目を向ける: どんな時に辛くなるのか、何がきっかけでODしたくなるのかなど、自分の感情の動きを理解することも大切です。


◆◆精神科訪問看護ができること
私たち精神科訪問看護ステーションは、ODに対して以下のような支援を行っています。ODは一つの現われであり、その行為自体に着目するというより、そこに至る生きづらさや苦しみに対して何ができるのかを考えていきます。

傾聴と共感: 気持ちをじっくりとお伺いし、共感することで、孤独感を和らげます。はじめは言葉にならないことも多いですが、まず、話す、まず、聴くから始めましょう。
服薬管理のサポート: 薬の正しい服用方法を確認し、飲み忘れや過剰摂取への対応を一緒に考えます。ODが事故に繋がらないようソフトランディングについても一緒に考えましょう。
精神状態の観察とアドバイス: 精神状態の変化を早期に察知し、必要に応じて医療機関と連携します。
日常生活のサポート: 生活リズムの調整、食事、睡眠など、安定した生活を送るためのサポートを行います。
社会資源の情報提供と連携: 利用できる社会資源の情報を提供し、必要に応じて関係機関と連携します。
再発予防: ODに至る背景にある問題に向き合い、再発を防ぐための方法を一緒に考えていきます。

◆◆最後に
ODは、一人で抱え込むような問題ではありません。もし、今つらい気持ちを抱えていたり、ODの経験がある方は、勇気を出して誰かに相談してください。

私たち精神科訪問看護ステーションは、皆さんが安心して自分らしく生きられるよう、 寄り添い、サポートさせていただきます。ご利用の検討についてご不明な点があればお気軽にご相談ください。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

※この記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の具体的な症状については、まずは主治医にご相談ください。