お知らせ

お知らせ

お知らせ

お知らせ

精神科訪問看護全般

2024-11-11

精神科訪問看護師が睡眠についてきく理由

みなさんこんにちは!
精神科特化の訪問看護聴き上手です。

先日「訪問看護さんが睡眠時間のこと良く聞いてくるのは何でですか?毎回聞かれて意味が分からないとイラっとする。」
と率直なご意見をいただきました。今日はそのことについて書いてみようと思います。

睡眠研究で有名な柳澤正史先生は、睡眠研究の第一人者であり、特に睡眠と心の健康との密接な関係について多くの研究と発表を行っています。先生がYouTubeで睡眠について対談しておられたので、その内容を軸に睡眠と精神的な安定、健康への影響、生活への影響について語ってみたいと思います。

睡眠は記憶の整理をしているとよく言われていますが、睡眠中、脳は日中に取り入れられたと思われる情報を整理し、記憶を固定化する作業を行います。この過程は「シナプス」・「ホームオスタシス」と呼ばれ、脳内のシナプス(神経細胞の間の接続)を調整し、過剰な情報を整理して最適な状態に戻して働きます。この機能が正常に行われることで、脳が効率的に働き、思考力や判断力が高まることが認められています。 また、睡眠には脳内の老廃物を除去する役割もあります。更に顕在化されていない記憶の定着にも関係していて、これはスポーツなどにおいて、練習中できなかったフォームが一晩寝ると急にできるようになっていたというような体験をさしています。

これらのプロセスが正しく行われるためには、規則的で十分な質の良い睡眠が欠かせません。ただ、今もって睡眠がなんのために存在するのかの全貌はわかっていないそうで、「脳を持つ」動物が必ず睡眠を必要とすることを考えると、睡眠は生命を維持するために必須ではあるが、その役割のすべてはまだわかっていない。日本人は先進国の中でも、睡眠が不足している国民で、全国民が睡眠時間を十分にとることができるようになると、様々なパフォーマンスがあがり、経済効果も期待できるそうで、それを考えるとメンタルヘルスだけではなく様々なことに「睡眠」が関与しているし、大切な役割を担っていることがわかりますね。

必要な睡眠時間というのは個人差があり、30分ずつ睡眠時間を増やして自分にちょうど合う睡眠時間を探っていくのがよいと言われていて、ちょうどよい睡眠というのは、日中に眠気が起きないということ。そういわれると、私自身日中に全く眠気を感じない日って少ないかもしれないとドキッとしました。みなさんはどうでしょうか?

精神的な安定にも、もちろん影響があります。脳は実は睡眠中も働いているということがわかっていて、単なる休息ということではないそうで、これは私はびっくりしました。でも言われてみると、寝ているからといって呼吸が止まってしまっては困りますし、心臓も規則正しく動いてくれています。そういった自律神経の働きと連動している脳がずっと働いているというのも納得できますね。脳全体のある部分は睡眠中に休息をとっていて、意識がある時(覚醒している時)に使っているところは休んでいるのでしょうか?
また、睡眠には脳内の老廃物を除去する役割もあり、これによって脳が疲労から回復しやすくなります。柳澤先生によると、これらのプロセスが正しく行われるためには、規則的で十分な質の良い睡眠が欠かせないそうです。睡眠不足はストレス耐性を低下させ、不安や抑うつを抱えやすくなるというデータがあり、睡眠不足になると、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」や「ドーパミン」 などのバランスが崩れ、ポジティブな思考が損なわれ、ストレスフルな状況に対する耐性が低下、結果的に感情が不安定になる可能性が高くなるそうです。

睡眠が十分にとれないと、メンタルヘルスにおいてリスクが上がることの反対に、メンタルの状態が悪くなると睡眠がとりにくくなる、入眠困難、断眠(何度も目が覚める)、早朝覚醒の状態になったりします。これが精神状態を知る手掛かりになるので、精神科保問看護では睡眠の状態を聞かせてもらうことが多くなります。例えば双極性障害の躁状態になると、睡眠時間が極端に短くなったり、全く眠れなくなることもあります。統合失調症の急性期や、うつ病の時にも睡眠がうまく取れなくなることがあります。このような状況にならないよう予防していくことが望ましいですが、気をつけていても、生活には変化がありますし、私たちの中の健康な状態を保とうとする力、恒常性が低下して病気が悪化することもあります。このような時は主治医に相談して睡眠がとれるよう処方を変えてもらうこともひとつです。自分でできることとしては、生活を急性期バージョンにして対応していくと言う方法もあります。休息時間を意識して拡大したり、起きている解決可能なトラブルを解決するために合理的な動きをする、支援の量を増やす、刺激を避ける、などなど調子を崩した時に生活について工夫できることは調子がいい時に話し合っておくのが良いですね。

ということで、睡眠とメンタルヘルスには密接な関係性があり、良い睡眠は健康を保つためには欠かせないと言うことをお話ししました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。