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精神科訪問看護全般

2024-10-09

双極性障害について

双極性障害(躁うつ病とも呼ばれる)は、感情や気分の変動を特徴とする精神疾患です。躁状態では異常に気分が高揚し、活動的でエネルギッシュになる一方、うつ状態では気分が落ち込み、無気力感や絶望感が強くなります。うつ状態が長く続くこともあり、うつ病と診断されていたのが、のちに双極性障害であったとわかるケースも少なくありません。長い経過の中で診断される精神疾患の一つとも言えるので、同じ先生に長く治療してもらうことが大切な疾患であるとも言えます。そこで、双極性障害を取り上げてみることにしました。

1. 症状
双極性障害には主に双極性I型障害と双極性II型障害の2つのタイプがあります。

■躁状態(双極性I型障害の特徴):

異常な高揚感、過剰な自信が沸き起こる
活動量が増える、多弁になる
睡眠の減少(疲れを感じない)
注意が分散される、集中力の低下
衝動的でリスクの高い行動(無謀な投資、無謀な買い物、無防備な行動など)
感情の変動が激しくなる

■軽躁状態(双極性II型障害の特徴):

躁状態ほどではないが、気分の高揚と活動増加
周囲が気づきにくいが、通常より積極的な行動や社交性が増加する


状態(I型およびII型うつの共通症状):

強い悲しみと絶望感
疲労感、無気力感
睡眠障害(不眠または過眠)
食欲の変化(食欲不振または過食)
自己否定的な考えや罪悪感
自殺願望や自殺企図


2. 経過
双極性障害は慢性的な病気であり、エピソードが周期的に発生します。躁状態やうつ状態は数日、数週間から数ヶ月続くこともあります。エピソード中の無症状期間が比較的長い場合もあります。発症年齢は平均して20代前後で、青年期や成人初期に初めて症状が現れることが多いです。治療を継続することが大切な寛解のポイントですが、治療をやめてしまうのが多いことも特徴です。

病気の経過は個人差が大きく、エピソードの頻度や症状も個人差があります。 一部の患者は「ラピッドサイクラー」と呼ばれる、1年に4回以上のうつエピソードを経験するタイプの人また、うつ状態が長く続くこともあるので、うつ病と誤診されることもあります。

3. 治療
双極性障害の治療は、主に薬物療法と心理療法の組み合わせによって行われます。

■薬物療法:

気分安定薬:代表的なものはリーマスで、躁状態とうつ状態の両方を補助する効果があります。その他、バルプロ酸やラモトリギンなどの抗てんかん薬も使われます。
抗精神病薬:オランザピンやクエチアピンなどは、躁状態のイライラを鎮める役割、気持ちを穏やかにするために使用されることがあります。


■心理療法:

認知行動療法(CBT):ストレスがかかりにくいように自己管理し、思考や行動のパターンをコントロールするための技術を学びます。
対人関係療法:人間関係や生活の中のストレスを改善することを目的としています。
家族療法:治療の継続や規則正しい生活を組み立てていくために家族の理解と協力が重要です。

双極性障害は完治することが難しいため、長期的な管理が必要です。

4. 予後
双極性障害の予後は個人によって異なります。適切な治療を継続している人の多くは、日常生活や社会的な役割を維持することができますが、再発のリスクは常に存在します。服薬を中断すると、再発の可能性が高くなり、特にストレスや睡眠不足がトリガーになることが多いと言われています。


5. 自殺率
双極性障害の憂慮する点の一つとして自殺のリスクが非常に高いことが知られています。一般人口と比較して自殺率は約10倍以上に上るとされています。特にうつ状態の期間や、躁状態から前向きにうつ状態に移行する「混合状態」では、自殺リスクが増加します。

自殺のリスクを軽減するためには、定期的な精神科医との相談や、家族や友人とのサポート体制が重要です。また、薬物治療の適切な管理や、緊急時の対応策を事前に整えておくことが大切です。


まとめ
双極性障害は、躁とうつ状態の両方を特徴とする慢性的な精神疾患であり、長期的経過から診断されることも多く、最初にうつ病と診断されることも多い疾患です。気分の変動が個人の生活に大きな影響を与える可能性があり、長期的な管理が必要な疾患です。予後は継続的な治療と支援が得られるかどうかにより左右されますが、いずれにしても自死のリスクが高い疾患であると言えます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。双極性障害は治療中断に陥りやすく、それによって症状が再燃し、日常生活がうまくいかないと言うことが起こりやすい病気です。当事者本人、家族、周囲の人の疾患に対する理解と協力が必要で、普段から自分の事を理解してくれる人と長く関係を築いていくことが治療的役割も果たします。

【この記事を書いた人】
株式会社真織 代表取締役 池田真奈🐭
看護師歴22年

2009年~精神科単科病棟勤務

2013年~精神科特化訪問看護ステーションミント

2020年~障害者グループホームレア

2024年~精神科特化訪問看護ステーション聴き上手

(趣味)

絵を描くこと・旅行